症状から探す|しののめメディカルクリニック|江東区の内科・内視鏡検査・肛門外科

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症状から探す|しののめメディカルクリニック|江東区の内科・内視鏡検査・肛門外科

内科の主な病気

かぜ

正式には「かぜ症候群」といい、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰などが引き起こされる上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。発熱、全身のだるさ、食欲低下などを伴う場合がありますが、発熱はあっても微熱程度で、頭痛や倦怠感も比較的軽いです。原因の80~90%はウイルスが占めており、粘膜から感染して炎症を起こしますが、きちんと治さないとその後、気管支炎や肺炎に進行する場合もありますので、完治するまでしっかりと経過を確認することが大切です。

インフルエンザ

インフルエンザウイルスによる急性熱性感染症で、寒い季節に流行することが多いです。感染から1~3日後に38℃以上の高熱、頭痛、全身のだるさ、筋肉や関節の痛みなどが現れ、咳、鼻汁、のどの痛みなどの症状が続き、およそ1週間で治ることが多いです。肺炎、脳症にまで発展することがあり、通常のかぜとは異なり、急激な発症、全身症状が強いことが特徴です。
季節性インフルエンザは流行と共に短期間で感染が拡がるため、二次感染、合併症の予防のためにも、できるだけ早く受診することが大切です。

急性胃腸炎・感染胃腸炎

胃腸炎のほとんどはウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)ですが、一部に細菌性(カンピロバクター、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌など)があります。病原菌が付いた手指や、料理を食べることで感染し、冬場、幼稚園や小学校などで集団発生することも見受けられます。
症状は下痢、嘔吐、腹痛、発熱が多く、脱水を予防し、症状に合わせた内服薬を服用することが大切です。細菌性が疑われる場合には抗生物質を使用することもあります。

蕁麻疹(じんましん)

じんましんは皮膚の一部がくっきりと赤く盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡形もなく消えるという特徴があります。かゆみを伴うことが多いですが、「チクチク」や「焼ける」といった症状が出る方もいらっしゃいます。じんましんの治療は、まず原因を探して、それらを取り除き、避けることが大切です。仕事や勉強などのストレス、不規則な生活を避けることも重要です。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎には、スギ花粉、ヒノキ花粉などが原因で起こる「季節性アレルギー性鼻炎」と、ハウスダストなどが原因で、季節に関係なく起こる「通年性アレルギー性鼻炎」があります。サラサラで透明の鼻水、鼻づまり、発作的に起こる連発するくしゃみが主な症状で、空気中に浮遊する原因物質(アレルゲン)が鼻の粘膜から体内に入ることによって起こります。アレルギー性鼻炎の治療には薬物療法、アレルゲン免疫療法等があります。原因となるダニやスギ花粉などのアレルゲンを避ける環境の整備も大切です。

扁桃炎(扁桃腺炎)

のどの奥に左右ある扁桃が、細菌などの感染により炎症を起こす病気です。扁桃が赤く腫れ、白い膿を持つこともあります。症状は、のどの痛み(つばを飲み込むときの強い痛み)、発熱、あご下や頚部リンパ節の腫れ、また、耳や側頭部に痛みが広がることもあります。扁桃炎の治療は、軽症ではうがい薬、トローチの使用で改善しますが、炎症が強い場合は、抗生物質、消炎鎮痛剤が必要になることがあります。日頃よくうがいをして、不摂生をさけ、痛みがある場合は飲酒、喫煙は避けましょう。

生活習慣病の主な病気

糖尿病

膵臓から分泌されるインスリンの作用、分泌が不十分なために血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなる病気です。日本人では2型糖尿病が圧倒的に多く、その原因はインスリンの分泌不足といったに加え、過食、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が関係しているといわれています。
糖尿病は初期症状が乏しく、のどが渇き、たくさん水分摂取をする、多尿(尿の量が増える)、体重減少といった自覚症状が現れたころには、ある程度進行していることが多いです。病気が進むと糖尿病の三大合併症と呼ばれる網膜症、腎症、神経障害を発症して、失明してしまう、透析治療が必要になる、足が壊死し切断が必要になることもあります。さらに、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる危険な病気を引き起こす可能性も高まるため、早期発見し、適切な血糖値へコントロールすることが大切です。糖尿病の予防、あるいは進行を遅らせるためには、生活習慣を見直すことが大切です。

糖尿病の診断は、症状の有無、ヘモグロビンA1cの値、血糖値を総合的にみて診断していきます。

ヘモグロビンA1c(HbA1c)

血糖値が高くなるとブドウ糖が赤血球の中のヘモグロビンと結合するため、血糖値が高いほどHbA1c値も高くなります。HbA1cは過去1~2ヶ月間の血糖の状態を示す値で、糖尿病の合併症の進行と深く関係しています。

早朝空腹時血糖値

8時間以上絶食後の早朝に採血したときの血糖値です。

75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)

75gのブドウ糖水などを飲み、その2時間後に採血したときの血糖値です。

随時血糖値

食事の時間と関係なく採血したときの血糖値です。
糖尿病の予防、進行を遅らせるためには、生活習慣を見直すことが必須です。糖尿病の発症を未然に防ぐ1次予防、発症したとしても血糖コントロールを良好に保つ2次予防、さらに合併症の発症を回避する3次予防、これらはすべて生活習慣改善が肝要となります。

心筋梗塞

心臓のまわりには王冠のように冠動脈がめぐっており、その冠動脈がつまり、心臓の筋肉に酸素が十分に供給されず、心臓の筋肉が動かなくなってしまうのが心筋梗塞です。突然、激しい胸の痛みが起きたり、動悸、呼吸困難、吐き気、冷や汗や顔面蒼白を伴うことがあります。痛みは胸だけでなく、みぞおちや首、腕、肩などにも生じることがあります。発作は長く続き数時間に及ぶこともあります。このような場合は、至急救急車を呼んでください。
心筋梗塞の原因の大部分は動脈硬化です。肥満症や高血圧症、脂質異常症、糖尿病など、動脈硬化を引き起こす生活習慣病に加え、喫煙や内臓脂肪も危険因子として考えられています。
心筋梗塞を予防するには、動脈硬化を起こさないために、生活習慣の改善が大切です。バランスのよい食事(塩分・糖分・脂肪分を摂り過ぎない)を心がけ、肉やバターなどに多く含まれる飽和脂肪酸よりも、不飽和脂肪酸の多い魚やえごま油などを摂るとよいでしょう。運動はウォーキングなど息切れをしない程度の有酸素運動を行いましょう。禁煙することが大切です。また、発症の引き金としてストレスやうつなどが影響していることもわかってきました。規則正しい生活を送り、ストレスをためないようにすることも大切です。

高血圧症

血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことで、高血圧症は、正常範囲よりも高い血圧が続く病態をいいます。
血管の内壁は本来弾力性がありますが、血圧が高い状態が続くと血管の壁に圧力が掛り、次第に厚く、硬くなり、動脈硬化と言われる状態になります。血管に弾力性があるときは、血圧は基準値以下に収まりますが、動脈硬化で血流が悪くなると、心臓がさらに強い力で全身に血液を送るため、血圧がさらに上がります。こうした悪循環が常態化してしまうのが高血圧症です。
高血圧には、他の疾患や薬剤が原因で起こる二次性高血圧と、原因がわからない本態性高血圧がありますが、日本人の高血圧症の約90%が本態性高血圧といわれています。本態性高血圧は、遺伝的要因、塩分過多、肥満、過度な飲酒、喫煙、運動不足、精神的なストレスなどの環境的要因が重なって発症すると考えられています。
高血圧症は自覚症状に乏しく、放置されることが多いですが、動脈硬化を引き起こし、狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気の他、脳出血・脳梗塞の原因にもなるため、そのままにしておくことは厳禁です。まずは、定期的にいつもと同じ時間に血圧を測定してご自身の血圧を管理しましょう。

高血圧の診断基準(日本高血圧学会)

・収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上
・拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上
※ご自宅で測る家庭血圧の場合は、診察室よりも5mmHg低い基準となります。

脂質異常症

脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態のことで、「悪玉コレステロール」といわれるLDLコレステロールや血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が増える、「善玉コレステロール」であるHDLコレステロールが減る病態です。これらの脂質異常はいずれも、動脈硬化を悪化させ、血液中に悪玉(LDL)コレステロールが増えると、血管の内壁が傷つき、血管が硬くなります。また、中性脂肪(トリグリセライド)も過剰になると、血管の健康が損なわれます。一方、善玉(HDL)コレステロールは、血中の余分なコレステロールを肝臓に戻す働きがあり、動脈硬化を抑える作用があります。動脈硬化の予防や改善には「悪玉」LDLコレステロールと中性脂肪を減らし、「善玉」HDLコレステロールを増やすことが重要になります。
脂質異常症は、特に症状が現れることはありませんが、知らぬ間に血管が傷つき、徐々に動脈硬化が進み、脳や心臓の疾患につながるおそれがあります。脂質異常症の主な原因は、暴飲食、喫煙、運動不足などが考えられます。
治療は通常、食事療法と運動療法からはじまり、これらを行っても脂質管理の目標値が達成できない場合や、動脈硬化や動脈硬化による疾患を起こすリスクが高い際に内服を行います。

高尿酸血症

高尿酸血症とは血液中の尿酸が高くなる病態をいいます。血液中の尿酸が高い状態が続くと、尿酸の結晶が足の親指の付け根の関節等に蓄積し、炎症を引き起こします。これを痛風といい、あまりの痛みで足を引きずってしまうこともあります。
痛風発作は消炎鎮痛剤などの治療で、1週間~10日ほどで落ち着きますが、治療を中断してそのまま放置すると、関節炎によるこぶ(痛風結節)ができたり、腎臓が悪くなったり、尿路結石のリスクを高めたりします。尿酸の結晶は、血清尿酸値が6.8mg/dl以上で形成されるといわれていますので、6.0mg/dl以下に保つことが治療目標となります。まずは原因となる生活習慣の見直しが大切です。

消化器の主な病気

逆流性食道炎

強い酸性の胃液(胃酸)が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症をきたす病気です。胃酸が多すぎたり、逆流を防ぐ機能がうまく働かないことで起こります。症状としては、のどまで酸っぱい、苦いものが上がってきたり、胸やけや、のどがヒリヒリして不快感があります。喫煙、飲酒などの生活習慣や加齢、肥満、姿勢、食道裂孔ヘルニアなどが原因となります。

ヘリコバクター・ピロリ感染症

ヘリコバクター・ピロリ菌は、多くは幼少期に口から入り、酸性の胃の粘膜に住みつきます。萎縮性胃炎を引き起こすことで、胃潰瘍や十二指腸潰瘍をきたすのみならず、胃がんの原因にもなります。内服薬で除菌をすることで、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防のみならず、胃がんのリスク低減が期待できます。

急性胃炎

急性胃炎は、様々な原因で胃の粘膜に炎症を起こす病気で、急激に発症します。激しい腹痛や胃の不快感、吐き気などの症状を生じ、重症の場合は吐血や血便がみられます。内視鏡検査が普及するようになり、粘膜の炎症状態を詳しく観察できるようになったことで、適切な治療へとつながっていくことができます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸粘膜を深く傷つけられてしまうことを潰瘍と呼びます。胃粘膜がピロリ菌に感染することが主な原因として知られていますが、それ以外にも薬剤やストレスなどでも発症します。40代以降の方に多くみられますが、ピロリ菌に感染していると若い方でも発症することがあります。症状としてはみぞおちや背中の痛み、お腹の張り、吐き気、胸やけがあります。潰瘍が深くなると出血することがあり、吐血や血便がみられるため、早期に適切な検査、治療が大切です。

萎縮性胃炎

主にピロリ菌感染によって引き起こされる慢性胃炎で、胃液や胃酸などを分泌する組織が縮小し、胃の粘膜が萎縮してしまう状態になり、胃がんのリスクとなります。ピロリ菌を除菌することで発がんリスクを下げることが期待できますが、除菌後もがんが発生する危険性があるため、定期的な内視鏡検査が必要となります。

便秘症

便秘症は、大腸の働きの異常による「機能性便秘」、便が物理的に通ることができない「器質性便秘」、全身の病気のために起こる「症候性便秘」、薬の副作用で起こる「薬剤性便秘」があり、幅広い原因があり、それぞれの治療法は異なります。中にはすぐに治療が必要な危険な便秘もありますので、強い腹痛や吐き気、発熱などを伴う場合や便に血が混ざる場合は迅速な医療機関受診が必要です。

感染性腸炎

ウイルス、細菌、寄生虫などが腸管に感染することで発症します。高温多湿となる夏場は細菌が原因となるものが多く、冬場にはノロウイルス等のウイルス性のものが多くみられます。下痢や腹痛が主な症状ですが、便に血が混ざる、吐き気、嘔吐、食欲不振などを伴うこともあります。

過敏性腸症候群(IBS:irritable bowel syndrome)

お腹の痛みや全身の状態が悪いことに加え、下痢や便秘などが続き、検査をしても異常が見られない場合に疑われるのが過敏性腸症候群です。明確な原因は不明ですが、ストレスなど心理的要因が関連していると考えられています。

クローン病

遺伝的要素も考えられていますが、明確な原因は不明で、あらゆる消化管に、浮腫や潰瘍を形成する病気です。腹痛と下痢が高頻度にみられますが、発熱、栄養障害、血便、肛門病変(痔ろうなど)が現れることもあります。難病に指定されていますが、適切な治療で症状を抑えることができれば健康な人と変わらない日常生活を送ることが可能です。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜を中心にびらんや潰瘍を形成します。症状としては下痢や血便、腹痛、しぶり腹(便意があっても便が出ない、出ても少量)、重症化すると発熱、体重減少、貧血などがみられることもあります。難病に指定されており明確な原因は分かっていませんが、適切な治療により症状を抑制できれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を送ることが可能です。

肝機能障害

肝炎ウイルス、アルコール、薬剤などの原因によって肝細胞に炎症が起こり、壊されてしまうことをいいます。肝機能障害はALTやASTという肝臓細胞中の酵素が血液中に漏れ出るため、血液検査で異常として発見されます。数値に異常があった場合は、それぞれの原因に合わせた治療法を選択し、悪化を防ぐことが重要です。

肝硬変

肝硬変は慢性肝疾患になった肝臓に線維組織が増え、肝臓が硬くなる病気です。症状のない、元に戻ることができる代償期と症状が現れ元に戻ることが出来ない非代償期があり、黄疸や腹水、浮腫、食道静脈瘤の破裂(吐血)、肝性脳症といった合併症が現れてきます。また、肝硬変になると肝細胞がんになるリスクが高まるため、注意が必要です。

胆石(胆のう結石症)

胆のうに結石が出来ることを胆のう結石または胆石と呼んでいます。胆石があるだけでは症状はおこりませんが、胆嚢から胆管への通り道を胆石がふさいでしまうと、みぞおちを中心とした激しい痛みが起こり、震えを伴う高熱をきたすことがあります。検診などで見つかることも多いですが、症状がなければ経過観察となります。

急性膵炎

膵臓から分泌される膵液中の消化酵素で、自らの膵臓を消化してしまうのが急性膵炎です。原因として多いのは過度なアルコール摂取と膵管に落っこちてきてしまった胆石です。上腹部や背中の激しい痛みや嘔吐がみられ、黄疸や発熱を伴うこともあります。炎症が他臓器に広がりやすく、早期に入院治療が必要です。

食道がん

食道がんは飲酒、喫煙が主な危険因子と考えられ、特に飲酒後に赤ら顔になる人はリスクが高いと考えられています。早期がんは無症状ですが、進行すると食べ物が通らなくなる、飲み込むときに胸がしみる感じや胸痛が出てきます。早期に発見できれば内視鏡治療を含む低侵襲な治療が選択可能となります。飲酒や喫煙をされる方や内視鏡検査でバレット食道を指摘された方は、定期的に胃内視鏡検査を受けることをお勧めします。

胃がん

欧米と比較し日本で多い傾向にあります。一般的な胃がんは胃炎やピロリ菌に感染した後の萎縮した粘膜から発生すると考えられています。喫煙や塩分の過剰摂取、栄養バランスの偏った食事なども胃がんの原因と考えられています。
早期の胃がんや特殊なタイプの胃がんを発見するためには、内視鏡でしっかりと観察する必要があります。近年は内視鏡診断・治療の技術進歩により、早期発見と治療が行えますので、定期的に内視鏡検査を行うことが大切です。

大腸がん

近年の高齢化に加え、食生活の欧米化など様々な要因もあり、大腸がんによる死亡者数は増加傾向にあります。大腸がんは自覚症状に乏しいため、症状が現れた時には進行していることが多いです。がんになる前病変である大腸ポリープ切除術を行うことで、大腸がんによる死亡を予防できると報告されています。下痢や便秘などの排便異常、血便がみられる方や便潜血反応陽性の際は、大腸内視鏡検査をお勧めします。

膵臓がん

膵臓がんは早期発見が難しいがんの一つです。初発症状に乏しく、腹部違和感、食欲不振、体重減少といったあまり特徴のない症状が現れることが多いです。病気の進行と共に、胃部不快感、腹痛、腰背部痛、黄疸などが出現します。現在、膵臓がんの原因としては喫煙、膵嚢胞、糖尿病、慢性膵炎、膵臓がんの家族歴などが上がられています。このような因子を持っている方は早期発見のため、積極的に血液検査や腹部超音波検査、CT、MRI検査を受けられることをお勧めします。

肛門外科の主な病気

痔(痔核・裂肛・痔ろう)

痔は大きく分けて、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろうの3つがあります。いぼ状の膨らみができる痔核は、内痔核と(歯状線より直腸側に生じる痔核)と、外痔核(歯状線より肛門側に生じる痔核)に分類されます。裂肛は肛門の皮膚が裂けることで、痛みや出血が生じ、慢性化すると肛門が狭窄してしまうことがあります。痔ろうは、肛門組織に細菌感染が生じ、膿がたまりのみならず、肛門の内部と肛門周囲の間にトンネルのような管が形成されます状態です。痔になると痛みや出血に加え、ストレスが生じ、生活の質(QOL)の低下を招きます。
痔核の治療の基本は生活習慣の改善、薬物療法があり、必要に応じて外科手術(結紮切除術)を行います。その中でも近年普及が進んでいるのが、内痔核硬化療法(ALTA)と呼ばれる、直接内痔核に直接薬剤を注入する治療です。それにより、痔に入り込む血液を減少させ、硬化・縮小をおこし、痔核を改善することが期待できます。
便に血が混じる場合、大腸がんや直腸がんなど他の病気が潜んでいることもありますので、お早めの受診をお勧めします。

血栓性外痔核

肛門と直腸の境目(歯状線)より皮膚側(肛門側)にできる外痔核のなかでも、痔核内の静脈に血栓(血のかたまり)が詰まったものをいいます。突然の痛みで発症し、腫れも伴います。原因としては、長時間いすに座り続ける、排便時に強くいきむ、おしりの冷えなどが挙げられます。大きさが小さく症状の軽いものは、吸収されて消失しますが、痛みや腫れなどの症状が続く場合は、薬物治療あるいは手術治療を行います。

嵌頓(かんとん)痔核

内痔核が脱出した時に、脱出部が肛門括約筋に締めつけられ、その間に血栓を形成して元に戻らなくなった状態をいいます。突然の強い痛みや腫れ、出血などが起こり、痛みのため肛門括約筋が収縮し、排便や排尿ができなくなることもあります。
早急に症状改善させることは難しく、鎮痛剤や軟膏、坐薬を使用して腫れが引くのを待ちます。内痔核が肛門内部に戻ると小さくなっていきますが、腫れがなくなっても再び脱出する可能性があるため、根治手術の必要性があります。

肛門周囲膿瘍

肛門内の小さな穴に細菌が入り、炎症を引き起こし、肛門や直腸周囲に膿がたまる病気です。浅い膿瘍では痛み、発赤、腫脹、発熱がみられ、深い膿瘍では肛門奥の鈍い痛み、発熱がみられます。治療は外科的に切開を行い、たまった膿を外に出します。

肛門周囲炎

肛門やその周りにできる湿疹、かぶれです。原因としては、皮膚に起こる感染症(カンジダ性皮膚炎など)、肛門周囲の便や汗の付着による刺激があげられます。症状はかゆみやピリピリとした痛みです。
治療としては、肛門の清潔を保つことですが、シャワートイレで肛門を洗いすぎたり、トイレットペーパーでの拭きすぎ、また、石鹸による刺激も加えないようにすることが大切です、皮膚を保護する軟膏やかゆみを抑える(抗ヒスタミン)軟膏を使用しますが、むやみに薬を使用するとかえって悪化させてしまうこともありますので、気になる症状があれば気軽に受診ください。

肛門ポリープ

直腸と肛門の境目(歯状線)あたりにできるポリープです。原因としては下痢・便秘を繰り返す、歯状線付近の慢性的な刺激・炎症が考えられています。ポリープが小さいうちは特に症状はでませんが、大きくなると排便時に脱出したり、根元部分が裂け、痛みや出血の原因となります。
ポリープのみの治療の場合、外科的に切除を行います。

膿皮症

様々な細菌感染によって起こる化膿性の汗腺炎で、肛門の周囲や臀部に発生します。痛み、腫れ、皮下のしこりが繰り返し起こることで、徐々に悪化することが多いです。膿がたまる急性期は切開し、膿を出す処置を行います。原則として病変部の外科的切除が必要です。

便失禁

排便コントロールができていない状態を表わし、500万人もの人が便失禁で悩んでいるといわれております。食事や排便習慣の改善、運動によって改善することもありますが、効果が得られない場合は薬物療法、手術療法(肛門括約筋形成術・有茎薄筋移植術)、仙骨神経刺激療法が行われることがあります。
便失禁は恥ずかしさや、その事実を認めたくないという思いがあり、誰にも相談できず悩んでいる方も多くいらっしゃいます。勇気をだして受診することが治療の最初の1歩です。ぜひご相談ください。

直腸脱

直腸を支える骨盤底の筋力が低下することで、肛門括約筋が緩み、直腸が肛門から出てしまう状態をいいます。お産経験の多い高齢女性によくみられ、直腸のみならず、子宮や膀胱の脱出を伴うこともあります。初期症状は排便時のみ脱出が見られますが、進行してくると立ったり、歩いていたりするときでも直腸が脱出してきます。
脱出が頻繁になると下着に直腸粘膜がこすれて出血をすることもあります。
治療は外科的手術が原則で、手術方法には経肛門的手術と、経腹的手術(腹腔鏡下直腸固定術)があります。

尖圭(せんけい)コンジローマ

ヒトパピローマウィルス(HPV)が原因で起こる性感染症で、外陰部や肛門のいぼをさします。米粒大の先の尖ったもの、平らなものなど、様々な形のいぼが多数でき、徐々にその数が増えていきます。こすれて出血を生じることもありますが、痛みを伴うことはほとんどありません。肛門以外に陰茎や腟といった性器に生じることもあります。治療には外用剤を塗布する薬物療法(適応は肛門周囲の皮膚に発症したコンジローマのみ)と、コンジローマを完全に切除する外科的切除および焼灼があります。

便秘症

便秘症には大きく分けて、大腸や直腸の働きが悪くなって起きる「機能性便秘」、便の通過が物理的に妨げられる「器質性便秘」、病気の症状として起こる「症候性便秘」、薬の副作用で起こる「薬剤性便秘」に分けられます。これらの便秘症の中には危険な便秘もあるので注意が必要ですので、早めに受診されることをお勧めします。

外科の主な外傷と疾患

切り傷

包丁、ナイフなど鋭利なもので皮膚を傷つけることで生じます。浅い表面の皮膚だけの切り傷であれば、しばらく圧迫することで止血され、縫合の必要はありません。しかし屋外でのけがなど、傷が汚れている場合、化膿する危険性がありますので、水道水でよく洗浄し、必要に応じた処置を行います。動物の引っ掻き傷などの場合は、加えて抗生剤を内服することがあります。皮膚の深くまで傷つけてしまうと、傷口が大きく開き、黄色い皮下脂肪や赤い筋肉、場合によっては骨が見えてしまうこともあります。この場合は、しっかりと縫合しないと、きれいに治らず、また、日常生活に支障がでてきます。

すり傷

すり傷は、傷口を水道水で洗い流し、清潔にすることが重要です。傷が大きかったり、深かったりするときには、速やかに受診してください。治療としては、まず傷口を洗い、砂やアスファルト、小石やガラス片などの異物が入り込んでいないかを確認します。洗浄することで傷口から出血することや赤くはれる場合がありますが、後々感染を引き起こさないためにもしっかり行うことが大切です。

打撲創(挫滅創)

打撲など強い力が加わることで生じる傷で、交通事故や転倒、スポーツ競技などで遭遇します。出血が多く認められる場合は、速やかに受診してください。治療は擦り傷と同様に傷口についた砂利などの汚れを落とし、必要に応じて縫合をします。その後は、塗り薬や被覆材を用いた治療を行います。

刺し傷

鋭いものが刺さって生じる傷で、傷口は小さいですが、深くまで達してしまうことが特徴です。ナイフ、包丁、釘、針、アイスピック、鉛筆、竹串などによる刺し傷が多くみられます。浅い刺し傷は問題になることは少ないですが、腱(すじ)や筋肉が切れると、手・足・手の指・足の指の動きが悪くなり、手術による修復が必要です。その他、神経を切ったり、場合によっては血管を傷つけてしまうこともあります。胸や腹部では大切な臓器を傷つけてしまい、緊急手術が必要な場合もあります。
浅い刺し傷は刺さったものを抜き、傷口を水道水で洗浄すれば問題ないこともありますが、深い刺し傷は、刺さったものを抜かずに速やかに医療機関を受診するようにしてください。

熱傷(やけど)

日常生活で多い外傷は熱傷(やけど)です。熱湯やアイロン、暖房器具等の電化製品などが原因で起こります。やけどは、皮膚に高温の液体や固体が一定時間以上接することで生じ、比較的低い温度(44~60度)で生じる低温熱傷もあります。
やけどをしてしまったら、流水で15~30分程度しっかり冷却することが大切です。衣服が脱げない場合は服の上からしっかりと冷やしましょう。水ぶくれがある場合は出来るだけ破らないようにすることで、細菌による感染を起こさないことが大切ですので、早めの受診をお勧めします。

褥瘡(床ずれ)

褥瘡(床ずれ)は、在宅や施設入所中で長期間寝たきりで生活されている方や、車椅子で生活をされている方にみられます。仙骨、坐骨、左右の太ももの骨が出ている場所やかかとなど、限定した部位が長時間圧迫されることにより、血流がなくなり、組織が損傷されて起こります。
発症から1週間から3週間までの間は、皮膚の赤み、浮腫、水ぶくれ、表皮の剥がれといった症状が現れますが、重症化すると浸出液が多くなり、化膿や壊死に陥ることがあります。褥瘡の管理が難しい場合には、一時的に入院治療が必要な場合もあります。

粉瘤(ふんりゅう)

一般的に「脂肪のかたまり」と呼ばれ、体中のどこにでもできる良性の皮下腫瘍です。皮膚の上皮成分が凹んで袋をつくり、内部に垢や脂がたまってできます。数ミリ程度の大きさから次第に大きくなり、数センチほどの半球状になることもあります。破けると膿と共に臭いにおいのある固まりが出てきます。無理に圧迫すると、袋が破れて慢性化してしまうこともありますので、早めに受診し適切な治療法をご相談ください。

脂肪腫

皮下腫瘍の中では最も多くみられる良性の腫瘍です。比較的浅いところにできる浅在性脂肪腫と、筋膜下、筋肉内、筋肉間等、深い箇所にできる深在性脂肪腫があります。40~50歳代の女性、やや肥満の方に多いといわれています。場所としては、背部、肩、くびに現れることが多く、うで、お尻、太ももにも出現することがあります。痛みは無く、皮膚が盛り上がり、柔らかい「しこり」として認められます。治療は手術で脂肪腫を摘出します。多くの場合は再発することはありません。

鼠径(そけい)ヘルニア

鼠径ヘルニア(脱腸)は、腹腔の内容物(腸管や脂肪)が、脆弱した腹壁部分から飛び出し、皮膚下に脱出して瘤(こぶ)を作り、違和感や痛みを伴うものです。左右の太ももの付け根部分(鼠径部)に瘤ができ、押すと戻ることもあります。原因には先天性と後天性があり、先天性の場合は、生まれつきヘルニア嚢(のう)が存在するため乳児期から見られます。後天性は重たいものを持ち上げるなどの腹圧がかかることや、加齢により組織が弱くなることによって発症します。
自然に治癒することはなく、治療するために手術しかありません。適切な医療機関へご紹介させていただきます。

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